みつめてナイト考察 プリシラとカルノーの関係について


●プリシラはカルノーに本当に恋愛感情がなかったのか?

プリシラと再会したのは良いものの、散々な振られ方をするカルノー。
「まさに道化だ…」とは彼の言葉ですが、プリシラは元々彼に恋愛感情はなかったのでしょうか?

G'sマガジンの公式資料に

周りに年の近い男性がほかにいなかったことと、カルノーがそこそこ美形だったことから、
「ま、付き合ってあげてもいいかな」という程度の感覚で付き合っていた
だから国外追放されて自分のもとを去っていった男にいつまでも執着したりはしなかった。

とあるので、この疑問は原作重視の建前を取るなら、あってはならないものです。
しかし、シナリオに若干の違和感を感じた事から、あえてこんな疑問を提示してみました。

その根拠は、例えば王女誘拐イベントでは仮面を被ったままのカルノーの正体をあっさり見破っているというものがあります。
事件翌日のお礼訪問では「もしかして…」というニュアンスではなく、あれはカルノーと断言しています。
特にグスタフバージョンの場合は、薬で眠らされてから救護班に保護されるまで眠ったままなので、
誘拐直後に眠らされたとすると、ナイフを突きつけられた時の状況だけで正体が分かっていた事になります。
プリシラが事件解決以降に誰かから真実を知らされた可能性も考えなければなりませんが、
東洋人以外に真相を知る唯一の人物=グスタフが、東洋人には他言無用と言っておきながらプリシラに暴露したとは思えません。
(メッセニたち近衛兵は、道化師が王女を抱えてハシゴで逃走するのを遠くから見た以外は、カルノーの姿を見ていません)
プリシラに真実(元婚約者がテロリストになって戻ってきて逮捕される直前に自決したというような内容)を伝える理由もありませんので、
セーラと同じ理由で伏せておくはずです。 (カルノーの名誉を失いたくないとも言っていましたし)
それに一人で助けに行ったバージョンでも二言三言の会話でカルノーと見抜いていますので、独力で見破ったと考えるのが妥当でしょう。
ただ、自殺未遂イベントでグスタフにも仮面のままでばれてますし、曲がりなりにも恋人だった事があるなら、これは当然なのかも知れません。

それと、お礼訪問のプリシラの
「でも、彼の事だからきっとどこかで生きてるわ。 顔に似合わずしぶといもの」
という妙に確信めいた台詞は、彼を良く知った人間でなければ言えないと思います。

また、プリシラはセーラ以上の箱入り娘のはずが、政治においては非常に達観している面が見受けられます。
(反面、一般市民の生活についての感覚はアンバランスに欠落しているのですが)
これは帝王学で学んだものというよりは、政治の裏(ときに体制派にとって好ましくないもの)まで知っているような印象です。
宮廷内でそういう類の影響力を与えられそうな人物というと、内心でプリシラに敵対意識を持つプリムや、
滅多な事を言える立場にないメッセニは除外するとして、やはり左派にも通じていたカルノーが最有力となるのではないでしょうか。

●プリシラとピクシス兄妹の過去についての考察

では、ここで過去のプリシラとカルノーがどういう関係だったかを考察してみます。

プリシラとカルノー・セーラ兄妹は従兄妹同士です。
王族の親戚付き合いがどういうものかという疑問もありますが、プリシラと兄妹は小さい頃から既知の間柄だったと考えるのが自然でしょう。
もし小さい頃からよく遊んでいた間柄とすると、上に書いたような妙に確信めいた台詞なども、腐れ縁(?)だからという説明が出来ます。
…上の疑問はあっさり解決してしまいましたが、このままもう少し考察を進めてみます。
プリシラとカルノーが付き合っていたのは、少なくともカルノー失踪事件があった3年前まで。
つまり、当時プリシラは13歳、セーラは12歳、カルノーの資料はありませんが、恐らくプリシラと近い年齢(13〜16歳位?)だと思います。

カルノーはピクシス卿の孫なので典型的な政略結婚のようですが、裏設定を見る限りでは二人が付き合いだしたのが先で、
アナベルはそれを追認したような書かれ方をしています。 つまり、少なくとも最初はアナベルの思惑によるものではありません。
と言う事は、最初にアプローチをしてきたのはカルノーで、これは彼の意思によるものという事になります。
(何らかの理由によって王族に近づくためだったというような可能性も含んでいますが)
そこで冒頭の「ま、付き合ってあげてもいいかな」程度の気持ちで付き合い始めた…という風に繋がっていく訳ですが、
プリシラの当時の年齢(10〜12歳位?)を併せて考えると、ちょっと印象が変わるのではないかと思います。

●プリシラとピクシス兄妹の三角関係?

さて、ここで気になるのはブラコンのセーラとプリシラとの関係です。

例えば、セーラとの雑談で好感度4未満の時、東洋人がカルノーの肖像画を見て「結構イイ男だね」とコメントした場合に、
「兄様って、すごく女性に人気があったから、私、妬いてばかりいたんですよ」
という台詞があるのですが、この"女性"に恋人かつ婚約者だったプリシラが含まれていなかったとは到底考えられません。

セーラからプリシラへのアクションがあったかどうかは作中に描写がないので分かりませんが、
プリシラ側では相当な(無言の、あるいはささやかな実力行使を伴う)プレッシャーを感じていた事は確かなはずです。

では、2人の関係がどうなっていたかを本編の会話から検証してみます。
例えばセーラのクラシスの花イベントでは、プリシラに空中庭園に入る許可を貰う場面で次のような台詞があります。

「そうですか… ピクシスのご令嬢の為に…」
(東洋人がプリシラにクラシスの花の事情を話した場面)

「あ〜肩こった…
 ねえ、○○○○ 私もセーラさんの事はすごく気になってたの…
 だから… シクラメンだか何だかの花を見つけてあげてね
 わたし、ちょっとお父様に呼ばれてるから後はお願いね」
(空中庭園内での台詞)

ここから2人の間のわだかまりはあまり感じられません。
従妹のセーラの呼び方がちょっとぎこちない気はしますし、
国王に呼ばれたというのは本当か(気を利かせた? 苦手?)など、深読みは出来ますが…。

一方、セーラの家庭教師の雑談には次のような台詞があります。

「先生はプリシラ王女をご覧になられた事ありますか?
 あの方…実は私の従姉なんですよ ご存じでした?」
※「彼女とは、よく会う」を選択した場合
「え、そうなんですか? では…セーラが、よろしく言っていたとお伝え下さい」

こちらもわだかまりを感じません。 (まあ、当のカルノーが逃亡済みというのもあるのですが…)
ただ、少なくともプリシラとピクシス兄妹の間にある種の三角関係(?)はあったはずで、
セーラとプリシラにも色々あったと考えるのが自然ではないでしょうか?

●プリシラの理想のタイプ

次に、プリシラが恋人に求めるものとは何だったかを確認しておきます。

プロフィールに”好きな男性:自分とシンクロ出来る人”とあります。
シンクロと聞くと”ダブルフラワーハリケーン”事件を思い出してしまいますが、
プリシラのエンディングを見た事のある方はご存知の通り、このプロフィールには裏があります。
プリシラはアナベルがどこかから連れて来た偽りの王女であり、実の親がどこの誰なのか分からないと言う事を知っています。
国王は自分の事を愛してくれているが、それは自分を可哀相と思っているからであり、本当に愛してくれているわけではない、
それで、地の自分を理解し、一緒にいてくれる人が理想のタイプ、つまり”シンクロ出来る人”という訳です。

ところで3年前まで婚約者だったカルノーにはその資格がありました。
というか、付きあいはじめはともかく、婚約にまで話が進んで、行く行くはカルノーと結婚する事になっていました。
恋愛感情は脇に置いておくとして、当時のプリシラには彼に期待する以外選択肢はなかったのです。

●カルノー失踪事件

プリシラが13歳のクリスマス・イブ、カルノーが突然失踪するという事件が起きます。
(カルノー失踪事件の詳細については、カルノー=愚者説の考察や、G'sマガジンの裏設定をご覧下さい。)

では、これまでの考察を踏まえた上でカルノー失踪当時のプリシラの心境を想像してみます。

まずは無責任に自分の前から消えた事に対する怒りはあったと思います。
形式的には婚約の破棄ですが、一緒にはいてくれるだろうという期待を裏切られたというのはあったのではないでしょうか?
それに、重い障害を抱えているセーラを、執事以外誰もいない屋敷に置き去りにした件もあります。
更に、突かなくていい藪を突いて蛇を出し、シベリアに這這の体で逃げだしたといったような内容の事件の真相を知った時には、
怒りを通り越して、呆れるしかないという感じだったのではないでしょうか?
(誘拐事件のリアクションから、カルノー失踪の経緯はセーラはともかくプリシラには筒抜けだったようです。)

3年という年月は、ドルファンに戻るためシベリアで奔走していたカルノーにとっては短いものだったと思いますが、
プリシラにとっては過去を清算するのに充分すぎるものだったと思います。
失踪事件の時点で仮に恋愛感情があったとしても、プリシラ誘拐事件の時点では既に終わっていたのです。
まして、テロリストになって舞い戻って来たかと思うと、ナイフで脅し、薬で眠らせて、勝手な思い込みで拉致するなど言語道断です。
結果、出た言葉が次のようなものだったのではないでしょうか?

「何年もシベリアに逃げておいて…… そんな自分勝手なヤツを女がしおらしく待つとでも思うの? この自意識過剰!」

そして、もし仮に事件以前に恋愛感情があったとしても、
失踪事件以降にプリシラがカルノーについて聞かれたとすると、次のような事を言ったと思うのです。

周りに年の近い男性がほかにいなかったことと、カルノーがそこそこ美形だったことから、
「ま、付き合ってあげてもいいかな」という程度の感覚で付き合っていた。
だから国外追放されて自分のもとを去っていった男にいつまでも執着したりはしなかった。

なので、恋愛感情はなかったという公式資料に矛盾はありませんが、恋愛感情はあったという解釈の余地も残されていると思います。
(いずれにしろ、今の時点では恋愛感情がないことに変わりはないんですが)

●シベリア拉致のその後

東洋人が誘拐事件を防げなかった場合、その後の顛末は政府の情報操作で全て闇の中なのですが、
上の推測からすると、プリシラがシベリアに拉致された場合でも、結構仲良くやっていくんじゃないかなという印象を受けます。
カルノーも彼なりにプリシラを大事に思っているようですし、アナベルの追撃さえ振り切れれば、シベリア生活もそんなに悪くはないかも知れません。
(カルノーは一生誘拐犯呼ばわりのような気はしますけど…。)
ちなみにこの場合、ドルファンの政治体制がとても大変な事になると思いますが、そこは事件の元凶でもあるピクシス卿に頑張ってもらうしかないでしょう。
(ヴァネッサの市民革命だと大なり小なり犠牲者が出ると思うので いつかは通る道なのかも知れませんが…)


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