傭兵騎士団ヴァルファバラハリアンについての考察

●ヴァルファバラハリアンの対外的に知られている情報

軍団長は通称「破滅のヴォルフガリオ」。
軍団長を含めた「八騎将」と呼ばれる騎士が各部隊を統率していますが、その詳細は全く謎とされています。

ヴァルファバラハリアン

全欧最強と恐れられる傭兵騎士団。
基本的には永世中立国であるスィーズランドに所属しており、各国の要請に応じて参戦する。
今回はプロキアに雇われて、ドルファン=プロキア戦争に参戦。
「ヴァルファバラハリアン」が旧トルキア語で
「血の河を渡る者=冥府の案内人」という意味である事から、軍装は赤で統一されている。
なお、軍記にある双頭の蛇は「生と死」を象徴しているという…。

(ガールズフリーク誌より)

軍団内では「勝者には生を、敗者には死を」などといった徹底した実力主義が貫かれており、
(これはライズの台詞ですが、他の八騎将も似たような台詞があります)
構成員はネクセラリア、ボランキオ、コーキルネイファのような無頼の徒が多いようです。
(ゼールビス曰く「あの傭兵騎士団の無神経さが嫌いだった」そうです)

以降は八騎将のプロフィールです。
各々、裏話は色々とありますが、ここでは対外的に知られていると思われるものを紹介します。
(ファーストネームはデュノスの名前がウィークリートピックスにあったので、伏せられてはいなかったようです)

破滅のヴォルフガリオ

ヴァルファバラハリアンの全部隊を統括する軍団長。
全身を鎧で包み、その正体を知る者は数少ない。
戦闘力も八騎将の中でも群を抜いており、名実共にヴァルファバラハリアンの長である。

幽鬼のミーヒルビス

ヴォルフガリオの腹心である盲目の老騎士。
副軍団長であり、智謀の将として周囲から畏敬の念を集めている。
八騎将の中ではヴォルフガリオに次ぐ実力者。

疾風のネクセラリア

槍を得意とする八騎将の1人。
疾風のごとく戦場を駆け抜ける事から「疾風」の名が付いた。

不動のボランキオ

大斧を得意とする八騎将の1人。
拠点死守や、退却戦における殿(しんがり)などで多くの功績を挙げ、「不動」の名が付いた。

氷炎のライナノール

八騎将の一人で、二刀流の女騎士。
氷の如き冷静さを持つ一方、炎のような闘志を併せ持つ所から、「氷炎」の名が付いた。

迅雷のコーキルネイファ

特殊加工のニードルを使用する最年少の八騎将。
血気盛んで、おまけに短慮であるため、しばしば単騎で突出し周囲を驚かせる。

血煙のゼールビス

八騎将の1人で、陽動などの特殊任務を遂行する特殊部隊を率いる。
ミーヒルビスの甥であるが、叔父とは違い周囲の信望は薄い。
現在は行方不明。

隠密のサリシュアン

八騎将の1人で、潜入工作などを主に行う。
任務の特性上、通称以外知られていない。


(以上、ガールズフリーク誌より)

●軍団長デュノスと副軍団長キリングの隠された過去

デュノスは前ドルファン国王の長男。
元ドルファン王国第一位王位継承者であり、現国王デュラン・ドルファンの双子の兄です。

デュノス・ドルファン(人名)
現ドルファン国王デュラン・ドルファンの双子の兄。
幼少時、右顔面に大火傷を負い、王位継承権を失う。
青年時、政争に敗れ国外へ脱出。その後、病死したと見なされている。

(用語集より)

デュノスとデュランは幼少時、仲の良い兄弟だったのですが、
兄弟の思惑の外で、王政国家にありがちな激しい後継者争いが行われていました。

デュノス王子の後見人はゼノス・ベルシス卿という人物でした。
(乳母はプリムの祖母で、後に「ローズバンク手記」という暴露本を執筆する事になるレイス・ローズバンクという人物です)

ベルシス(家名)
王室会議のメンバーで、ダナンを統治する名家。
しかしピクシスとの折り合いが悪く、しばしば会議の中で孤立する。
かつてはデュノス公を支持していた。

(用語集より)

一方、デュラン王子の後見人は公式の記述はありませんが、ピクシス卿だったと考えて間違いないでしょう。
(現在の権力構造からすると、エリータスも一枚かんでいたと考えるのが自然だと思います)

恐らく、聡明なデュノス王子に比べ、デュラン王子の周囲の評価はあまり良いものではなかったと思います。
故に当時はデュノス王子が王位を継ぐのが確実視されており、ピクシス家の順位もベルシス家より一段低いものだったはずです。

そんなある日、デュラン王子をかばってデュノス王子が顔に大火傷をするという事件が起きました。
これはむしろ、デュノス王子が弟をかばった美談とでも言うべきものでした。

しかし、これを千載一遇のチャンスと思ったのか、デュラン王子を擁立したいピクシス卿は、
国王に顔に大火傷を負ったデュノス王子は国の象徴たる国王に相応しくないと進言し、結果としてこれが容れられることになります。
この事件が元でデュノス王子は王位継承権を失い、政権の勢力図は一変しました。

後の「青年時の政争」の詳細は不明ですが、ベルシス一派が最後の賭けに出て失敗したか、
あるいはピクシス卿が一派を罠にはめて追い出したと言う感じだったのでしょう。
時期的に恐らく前王が退き、デュランが国王の座に就いた辺りなので後者でしょうか?

ベルシス一派は最初は首都ドルファンに居を構えていたと思われますが、
政争に敗れた後、地方都市ダナンの領主となったと考えるのが自然だと思います。
ベルシス卿自ら、デュノスによる再起に賭けて国境近くの都市に移ったか、
あるいはピクシスの策動によって中央から遠く離れた土地に左遷されたかのいずれかでしょう。
一方、デュノス王子はピクシス卿の手の者による暗殺から逃れ、スィーズランドに亡命しました。
その時、近衛騎士団(?)のキリング・ミーヒルビスがデュノスに同行し、以降、死の間際まで行動を共にする事になります。

●傭兵騎士団ヴァルファバラハリアンの旗上げ

デュノスはキリングと共に、ドルファン王家への復讐のためにヴァルファバラハリアンという組織を作りました。
「血の河を渡る者」とは、(表向きはともかく)彼自身の復讐への決意を意味していたのでしょうか?
(公式にはデュノスがヴァルファを作ったと言う記述はないので、既存の組織が基盤だったかも知れません)
デュノスはドルファンの姓を捨て、以降ヴォルフガリオを名乗る事になります。

●娘ライズの誕生

デュノスはサリシュアンという苗字の女性と結ばれ、娘を授かりました。
この女性がライズの母親という事になりますが、彼女についての情報は苗字以外には全くありません。
ただ、デュノスの死に際の台詞に娘が出てくるのに、妻が出てこないと言う点、
ライズが危険な任務や、深い傷を負っていても、干渉した様子が全く感じられない点、
ライズの台詞に母親が全く(恨み言すら)出て来ず、父に関する事だけである事などから、
ライズが物心付く前に亡くなっていたと考えるべきでしょう。
(復讐の妨げになるとデュノスが一方的に別れたとすると、ライズは母元に残すはずです)
弟のデュラン同様、無骨で不器用なデュノスは、気の強い娘に育ってしまったライズに手を焼いていたようです。

●ヴァルファの躍進と迫り来る斜陽の時

ヴァルファは少なくともD26〜29年の時点で全欧最強と呼ばれるまでの組織に成長しました。
ただ、肝心のドルファンへの軍事介入というチャンスには恵まれないまま数十年が過ぎ、
年齢的に軍団長自身(あるいは参謀長)の戦士としての限界を感じていたと思われます。

更にシベリア戦争と呼ばれる激戦などで、当時13名いた将校の約半数を失いました。
また、参謀のキリングが戦闘中に失明するなど、大きな犠牲を払っていた事が窺えます。
つまり、ヴァルファという組織も、全欧最強という名声こそ今だ揺らいでいないものの、
既に斜陽を迎えつつあったと考えられるのです。

そんな中届いた、プロキアの参戦要請は正に渡りに船だったと思われます。
軍事的には確かに分の悪すぎるものだったかも知れませんが、
デュノスにとっては、この千載一遇のチャンスを逃す訳にはいかなかったのです。
たとえその選択が、共に戦って来た部下達を裏切り、死の道連れにする結果になるのだとしても……。

●デュノスの罪

デュノスとキリングは私怨による負け戦に、真実を告げないまま多くの部下を巻き込みました。
更に娘のライズだけを安全なドルファン城砦内に逃がしました。
これはゼールビスの言う通り罪深く、決して許されるものではないでしょう。

ただ、若干弁護しておくと、開戦前はまだ不透明な状況で、勝算はあったようなのです。
デュノスとキリングが負け戦が確定した事を話し、ミハエルがそれを立ち聞きしたのは、
フィンセン公との会談を終えたデュノスが、物資調達に当たっていたキリングと合流したグローニュでの事です。
会話内容からはこの時点で初めてキリングがヘルシオ公が動くと言う確実な情報を掴んだようなので、
それ以前は勝算が僅かでもあった、負けが確定した戦に飛び込んだ訳ではなかったと言う事になります。

しかし、上記の理由により、たとえ負け戦が確定した後でもデュノスに撤退の選択肢はありませんでした。
正々堂々と、と言うなら、部下に全てを打ち明け、それでも付いてきてくれるかを問うべきでしょう。
しかし、そもそもヴァルファは実力主義を信条とする組織であり、軍団長の私怨に付き合ってくれるようなお人好し集団ではありません。
(事実、幹部のゼールビスが離脱しています)
更に、数で圧倒的な差をつけられている相手に多少の離脱者を出す事も許されなかった状況では、
もし仮に大多数が付いて来てくれたのだとしても、リスクが高すぎます。
つまりこの時、デュノスの選択肢は"血の河を渡る"というものしかなかったのです。

ライズの件は親の業・エゴイズムというものでしょう。
個人的な印象なのですが、ライズを逃がしているのに、同年代のスパンら少年兵を離脱させなかった点は残念ではありました。

●親馬鹿デュノスとじゃじゃ馬ライズ

ドラマCDでデュノスがライズの処遇についてキリングに尋ねる場面があります。
負け戦と分かっている戦場に娘を連れて行きたくないが、娘は絶対に承服しないはず。
娘を納得させた上で離脱させる策はないものか…といったような内容のものです。
それに対しキリングは、個人の武勲が戦局に影響しないという持論を展開した上で、
開戦後に敵軍で武勲を挙げた人物の偵察任務につけ、体良くドルファン城砦内に避難させるという策を出し、デュノスはこの策を容れました。

この策ではライズがその武勲を挙げた人物の返り討ちにあう危険性は否定出来ないのですが、
キリングの考えでは、これがライズを納得させるぎりぎりの譲歩ラインだったようです。

以降は完全に想像なのですが、多分似たような会話がそれ以前にもあったのではと思っています。
例えば、ライズが薄着をしない理由の体のあちこち(胸の谷間や背中、太股の裏など)にあるざっくりとした傷ですが、
上の会話を見る限り、デュノスやキリングがこれを黙って見ていたとは思えません。

このような傷の状態からすると、ライズは武勲を挙げ、父の役に立つ為にかなりの無茶をしていたはずです。
これはデュノスにとってはかなり頭の痛い問題だったはずです。
そこで苦肉の策として、隠密任務を行う特殊な八騎将という地位を与えたのではと考えてみました。
これは、作戦内容によっては確かに危険な任務ではありますが、前線に立たれるよりはまだましだったはずです。
また、実力主義のヴァルファ内で、軍団長の娘が八騎将になったとなると色々と不都合があると思いますが、
隠密任務なので仲間内でも素性が分からないとなると話は別です。
(他の八騎将(少なくともゼールビス)など幹部クラスには素性が知られていたようなのですが…)

●プロキア兵斬殺事件に見るヴァルファの病理

CDドラマによると、ネクセラリアとコーキルネイファはデュノスとフィンセン公の会談の間にプロキア兵数十名を斬殺しています。
この知らせを聞いたデュノスも、「貴重なプロキア兵を失ってしまったようだ」と、さほど意に介していませんでした。
事の発端は八騎将の4人がプロキアを侮辱する発言をし、それに怒ったプロキア兵が剣を抜いた事でした。
剣を抜いたなら死を覚悟せよというのがヴァルファの流儀なので、彼らがプロキア兵を切り殺したのは当然とも言えます。
ただ、ゼールビスが語ったように、これは傭兵団の正しい姿とは言えないでしょう。
ゼールビスの例えを借りるなら、こんな事を続けていると、いつか後ろから撃ち殺される事になってもおかしくないのです。

ヴァルファは東洋のシンラギククルフォン、シベリアのスペツナズのような統一された組織と違い、各民族の入り乱れた寄り合い所帯です。
例えばネクセラリア、コーキルネイファはハンガリア人であり、ネクセラリアは元脱走兵、コーキルネイファは元ボルキア難民の孤児です。
つまり、元々統制の取れた組織などではなく、どちらかというと諸国の荒くれ者が寄り集ったような集団であり、
それを軍団長の強力な統率力と、副軍団長の知略、徹底した実力主義思想によって何とか纏め上げた組織だったと考えるべきでしょう。

また、ヴァルファ哲学とも言うべき徹底した実力主義思想は、カルト的な危険性も孕んでいました。
特にライズは過剰に感化された1人と言って間違いないでしょう。 (NTT出版攻略本の裏話に「自己催眠」とあります)
軍団員は前述のように、後ろから撃たれる危険性を軽視し、むしろ撃たれるのを恐れるのは臆病者だと断罪してしまう傾向があります。
このような思想は蛮勇的な強さが得られる一方で、組織としての危うさ、脆さも内包しており、ゼールビスはその危険性を見抜いていたと言えます。
(このような組織ではゼールビスのような男は臆病者と言う評価しか得られなかったというのも勿論あるのですが)
例を挙げると、コーキルネイファの突出や、ライナノールの私情による戦線離脱も、彼ら個人の資質のみに原因を求められるものではないのです。
騎士の時代が終焉を迎える中で、ヴァルファと言う組織が滅んでいったのは、ある意味必然だったとも言えるのかも知れません。


※ドラマCDはゲームのパラレルストーリーなので参考にならないという考え方も出来ますが、
 少なくともライズがドルファンに来るまでの経緯は同じとして考察を進めています。
 その理由とは、このドラマがゲーム本編の隠された部分を明らかにするために作られたと言う側面があるからです。


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